書いた答案五万枚(未満)

自分は「十を聞いて一を知る」人間だから「論証を集中的に記憶」するという「作業」が苦手である。そしてこのことは、司法試験合格を目指す上で致命的な欠点である。
現在の司法試験が「複雑な事例に論点を当てはめきった論文」を求めている以上、書くべき論点を書き落とすあるいは不正確に書くことは、配点されないからである。
一方で、一度ゼロから考えてなんとか思いついたことは不思議と忘れないものである。
だからこそ、大学受験に際しては、膨大な量の過去問を実際に解いて、試験対策とするのだ。
そしてその傾向は、やたらと法則に拘束される「理科系科目」ほど強いのである。無味乾燥な方程式や法則を素のままで覚えるよりも、実際の問題への適用を行うことで「肌に染み込ませる」感覚が必要とされる側面であり、文科系と理科系との壁ができる遠因ですらある。
択一対策講義を残して全ての講義を聴き終えた今、悔やむべきは十分な予習ができないままに講義を消化し、そして答練に臨んだ事である。
流れていった時間は戻らない。知識の完全整理には遠いだろう。
しかし「100の不完全な知識」よりは「1の完全な知識」がものをいう世界。
とにかく「重要」とされる答案をしっかりと書き上げて、知識の拡充を進めていこう。