大阪地裁刑事部。(その2)

証人宣誓。
これは全員(傍聴人も含めた)が起立し、その「真実以外の云々」を聞くわけです。
まぁ、これは雛形があるのでしょうけど。
そして人定質問。
端的に言ってしまえば

  • 上阪した時には松下の子会社勤務
  • その後理容師免許を取得、開業

とのこと。
そして弁護士の「息子さんは、どのようなお子さんでしたか」
ここで、このお父さんは息子をこき下ろすこき下ろす。
それでいて
「悪い友達が多いんですよ。その友達の誘いを断れないんです、意思が弱いから」
との責任転嫁を図り、そして
「もう、息子はどこか牧場とか漁船とかで働かないと、その友達と縁が切れないと思うんです」
と締めくくりました。
そして弁護士。
「お父さん(ここで「証人」から「お父さん」に呼びかけが変わった)肉親ですら面倒が見られないのに、他人が面倒見られますか?もしお父さんが面倒見られないとしたら『壁の内側』しかないじゃないですか」
そうなのですね。結局執行猶予をもらうにしても、保護者となるべき人がいないと、科刑のしようがないのですね。
だからこそ、その証人に呼ばれたその被告の父親に対して「自分の問題」として、息子さんの処遇に立ち会ってもらいたいというのが弁護士の考え方なのだと思いました。
その親子の事情について、私は知り得ません。
単純に傍観者の立場から「家庭にも問題があるのだろう」とか、述べてしまうのは簡単ですしまた事実との「ブレ」も大差ないとは思いますけど、正直肉親のことで文字通り身を切るような思いをしている人に、そういう言葉は残酷過ぎます。
もし、息子が成人後に刑事裁判の被告に呼ばれるようなことがあったら、と思うと想像力が停止します。
無論、全力で以って弁護する「予定」(大苦笑)するつもりですけど。
結局、刑事に限らず、裁判とは個々の人間の事情にまで足を踏み込んでしまうような、極めて非情な場所なのだと思いました。
さて、審議が進み、不意にその証人の父親が言います。
「ところで、あの人は被害者の身内ですか」
・・・なんで、オレに注目するんだ?
なるほど、平日の午後に裁判を傍聴に来るのだから、これは関係者だと思われたわけです。
最初ジロリとにらまれたのも道理だ。
もっとも、その後どうやら酔っ払いらしき中年のおじさんが一度廷内に入ってきたものの、すぐに出て行ったのですけどね。
そんなわけで、二回目の裁判傍聴を終えて、大阪地裁を後にしました。